成功を決めるのは「才能」ではなく「運」その驚きの結果発表

 

こんにちは‼️ずぜあどです🤗

米野球選手のレフティ・ゴメスが、「優秀な選手ではなく運のいい選手になりたい」と言ったのは有名な話だ。しかし、成功する上で運が果たす役割はいまだに社会で軽視されており、成功は努力と才能のたまものだとする考え方が主流だ。世界中で収入格差が広がる中、このことは盛んに議論されるようになった。

 

イタリアのカターニア大学が最近発表した論文では、人間の才能が人生を通してどう使われるかをシミュレーションし、成功する上で運が果たす役割の特定を試みている。

 

チームが実施したシミュレーションでは、現実世界で見られる富の配分を正確に反映することに成功したが、特に興味深かったのは能力の分布だ。最も大きな富を得たのは、最も才能があるとされた人々ではなく、最も運が良いとされた人たちだった。

 

シミュレーションで使われたモデルでは、人々にそれぞれ一定レベルの才能(スキルや能力、知性などで構成される)が付与された。才能はサンプル集団内で無作為に、一般的な釣鐘曲線(ベルカーブ)形式で配分された。

 

●40年のキャリアをシミュレーション

 

このモデルでは、幸運・不運な出来事が無作為に散りばめられた典型的な40年のキャリアを通じて個人を追跡。富は、幸運な出来事によって増え、不運な出来事によって減るものとされた。

 

シミュレーションの最後には、全員が資産順にランク付けされ、その資産が形成された経緯や、成功者に共通の特徴の有無を見極めるため、チームが各個人の「人生」を詳細に分析した。また、このプロセスを数回繰り返し、結果にずれがないことを確認した。

 

富の配分は現実世界のデータとおおむね一致していた一方で、富の分布は才能の分布とは一致しなかった。むしろ最富裕層は、才能面ではトップから程遠い結果となった。

 

では、富をもたらしていたものは何か? それはどうやら、純粋な幸運のようだ。チームが幸運度を元に個人を順位付けしたところ、幸運と全体的な資産の明確な相関関係が示された。最も幸運だった層は資産の面ではほぼ最上位に入った一方で、最も不運だった層は最底辺近くに入ったのだ。

 

その後チームは、この考え方を実世界の例に当てはめ、科学研究に対する資金分配方法を、(1)全科学者への資金の均等な分配(2)科学者の小集団への無作為な資金の分配(3)過去に成功を収めた科学者への優先的な資金提供の3通りに分けて分析した。

 

これらの分配方法をテストしたところ、将来最も大きな成果を得られる最善の資金分配法は、全研究者の間で均等に分配することだと分かった。一方、最悪の方法は、過去の成功の有無を基準に資金提供を決めることで、過去の成功は幸運に大きく依存していたことを明らかに示していた。

 

この発見は、数年前に英科学誌ネイチャーで発表された別の研究結果でも確認されている。同研究はバスケットボールに焦点を当てたもので、直前に3ポイントシュートを成功させた選手は、もう一度同じようにスリーポイントシュートを決めようとすることが分かった。選手は、自分がシュート成功の波に乗っていると信じ込む落とし穴にはまってしまっていた。 

 

だが同研究では、シュートの成功は予測不可能な力によって決まり、繰り返される可能性の低い細かな状況的要素に依存していることが示された。シュートを打つ場所やディフェンスからの圧力、試合の残り時間など、あらゆる要素が結果に大きな影響を与えていた。

 

ビジネス界は、グル(教祖)崇拝のとりこになることが多い。著名な思想家が、ある分野で成功する秘訣(ひけつ)を見つけたと主張するような状況だ。こうしたグルたちは、その成功をどのように再現するかを説いて回ることで、キャリアを形成する。

 

だがカターニア大学の研究は、成功には自身の力もある程度影響するものの、運の果たす役割が非常に大きいことを示している。成功とは、個人の才能だけではない多くの要素によって決まるものなのだ。

 

自分や他者の過去の経験から学ぶことは大事だが、忘れてはいけないのは、現在の状況について、過去とは違うまったく新しい状況としてとらえることだ。今の状況で成功するには、過去の成功でも恐らくそうだったように、新しい考え方が必要だ。成功をもたらす「ホットハンド」は近道をしても獲得できないのだ。